セキュリティ・弱点
チャットボットや相談フォームを置く時、歯科医院が確かめたい個人情報の扱い
「初診の相談を電話以外でも受け付けられないか」と考えて、ホームページにチャットボットや相談フォームの導入を検討する歯科医院が増えています。ただ、チャットでのやり取りには、お名前や連絡先だけでなく「歯が痛い」「以前治療した歯が気になる」といった症状の内容も含まれやすく、これは一般的な個人情報よりも扱いに注意が必要な情報です。この記事では、チャットボットや相談フォームを置く前に確かめておきたいことと、運用を始めてからの注意点をまとめます。
チャットのやり取りには、症状の情報が含まれやすい
ホームページの問い合わせフォームが「お名前・電話番号・ご希望の日時」程度の入力で済むのに対して、チャットボットや相談フォームは、患者さんが自分の言葉で症状や不安を書き込むことが多いという違いがあります。「奥歯がずきずきする」「以前の詰め物が取れた」といった内容は、心身の状態に関わる情報で、通常の個人情報よりも慎重な扱いが求められる種類のものです。
導入を検討する段階では「便利な相談窓口を増やす」という発想になりがちですが、その裏側でどんな情報が、どこに、どれくらいの間保存されるのかを先に確かめておくことが、患者さんの信頼を守るうえでも、医院を守るうえでも大切です。
特に、夜間や休診日に送られてくるチャットの相談は、受付が対応できない時間帯のものも多く、翌営業日にまとめて確認する運用になりがちです。その間、情報がどこに保存され、誰のスマートフォンやパソコンから見られる状態になっているのかが曖昧なまま運用を続けている医院も見受けられます。導入後に困らないよう、まずは仕組みを把握しておくことから始めましょう。
導入前に確かめておきたい5つのこと
チャットボットのサービスを選ぶとき、次の点を提供会社に確かめておくと安心です。
| 確かめること | なぜ大切か |
|---|---|
| やり取りの内容がどこに保存されるか | 医院のサーバーか、提供会社のサーバーか、海外のサーバーかで扱いが変わります |
| どれくらいの期間保存されるか | いつまでも残り続けるのか、一定期間で消えるのかで、万一の漏えい時の影響範囲が変わります |
| 誰が内容を見られるか | 受付の全員が見られるのか、院長だけが見られるのか、権限を分けられるかを確認します |
| 他のサービスと連携しているか | 予約システムや広告の効果測定ツールなどに、症状の内容まで渡っていないかを確認します |
| 解約したときにデータがどうなるか | サービスをやめた後も情報が残り続けないか、削除を依頼できるかを確かめます |
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フォームの作り方でできる工夫
チャットボットや相談フォームの画面そのものにも、工夫できる点があります。
- 症状欄を「自由に書いてください」とだけにせず、「簡単で結構です」「詳しい内容は診察時に伺います」と一言添え、入力しすぎを防ぐ
- 送信前に「入力内容は予約・ご相談のご連絡のために利用します」など、利用目的を一文で示す
- 個人情報の取り扱いについてのページ(プライバシーポリシー)へのリンクを、送信ボタンの近くに置く
- 緊急性の高い症状(強い痛み・出血など)については、チャットではなく電話を案内する文言を入れる
お問い合わせフォーム全般の保存先や扱いについては、お問い合わせフォームに入力した個人情報、どこに保存されている?歯科医院のホームページでも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
院内での運用ルールを決めておく
システム側の設定だけでなく、院内の運用ルールも合わせて決めておくと、日々の対応がぶれにくくなります。
- 誰が確認・返信するかを決める受付が一次対応し、症状に関わる判断が必要な内容は歯科医師や歯科衛生士に引き継ぐ、といった役割分担を決めます。
- 画面を見られる端末を限る受付のパソコンや、特定の職員のスマートフォンだけでチャットの管理画面を開けるようにし、共有の端末で誰でも見られる状態を避けます。
- 印刷・スクリーンショットの扱いを決める院内で情報共有のために印刷やスクリーンショットを取る場合、保管場所と廃棄の方法を決めておきます。
- 退職したスタッフのアカウントを止めるスタッフが退職・異動したときは、チャットボットの管理画面にログインできないよう、提供会社に連絡してアカウントを止めてもらいます。
万一、情報が漏れてしまったときの考え方
症状など心身の状態に関する情報(要配慮個人情報)が漏れてしまった場合は、件数に関わらず個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が必要になります。それ以外の個人情報については、件数や内容によって対応が変わります。詳しい手続きは個人情報保護委員会の案内をご確認ください。断定的な判断は専門家にご相談のうえ行ってください。
見落としやすい点
チャットボットのサービス自体に不具合があり、他の患者さんのやり取りが見えてしまう、といったトラブルも報告されています。提供会社の障害情報やお知らせを定期的に確認する習慣も大切です。
こうした万一の事態を想定して、提供会社との契約時に「不具合が起きた場合の連絡窓口」「調査にどれくらいの時間がかかるか」をあらかじめ確認しておくと、実際に何かが起きたときに落ち着いて対応しやすくなります。契約書やサービス案内に記載が無い場合は、導入前に問い合わせてみることをおすすめします。
導入後も、定期的に見直す
チャットボットは一度設定すれば終わりではなく、サービス側の仕様変更や、スタッフの入れ替わりに合わせて、保存先や閲覧できる人の範囲を定期的に見直すことが大切です。
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14日間無料で始める まずは人に相談するよくあるご質問
チャットボットの導入自体に許可は必要ですか?
一般的な導入そのものに特別な許可が必要というものではありませんが、個人情報の取り扱い方針(プライバシーポリシー)に、チャットでの相談を受け付けている旨を書き加えておくことをおすすめします。詳しくは専門家にご確認ください。
無料のチャットボットサービスを使っても大丈夫ですか?
無料・有料にかかわらず、保存先や閲覧できる範囲、解約時の扱いを確認することが大切です。無料サービスの場合、広告のために内容が利用される設定になっていないかも確認してください。
AIが自動で症状に答えるタイプのチャットボットは注意点が違いますか?
自動応答の内容が診断や治療方針と誤解されないよう、「一般的なご案内です。詳しくは来院時にご相談ください」といった一言を添えることをおすすめします。
スタッフがチャットの内容を話題にしてしまうのが心配です。
院内研修などで、チャットの内容も診察室での会話と同じように、院外で話題にしないことを周知しておくとよいでしょう。
既存の問い合わせフォームをチャットボットに切り替える場合、何を確認すればよいですか?
これまでのフォームの保存データをどう移行・削除するか、切り替え後に古いフォームへのリンクが残っていないかを確認してください。
この記事は、歯科医院のホームページの見守りと相談を担当する「HPドクター」編集部がまとめました。


